相手の気持ちを知るキッカケ
私は、一昨年から介護施設で働いています。認知症の利用者さんがいる施設では、殴られる・ひっかかれる・噛まれるといった悩みが尽きません。さらには、徘徊や暴言もあり、体力だけでなく精神もすり減らしていくスタッフもいるのです。
私の職場では、認知症専門棟に20床ほどあります。人により程度は違いますが、やはり暴力的な利用者さんがいるのも事実です。正直、私も辛くなることがあります。そういう方へは、「何をされても平気な顔をする」「コミュニケーションにより自分のことを覚えてもらう」「相手の心情を考える」などの対応をとるしかありません。しかし、そのような利用者さんは、「今までできたことができなくなった不安」「知らないところに一人でいる不安」「妄想・思い込みにより自分の命が狙われているという不安」などから自分の身を守っているだけなので、そこを理解してあげましょう。人によっては、元々の気質が荒い方がリミッターが外れてしまっただけ・プライドが傷ついている状態だから暴言を吐いてくる、ということも踏まえて対応している方もいます。
いずれにしても、根気よく対応することが必須になりますが、施設の仲間や上司・ケアマネなど多くの人が味方であり、最悪の場合は警察に連絡するといった対応もとることができます。それでも、一方的にやられるだけの介護側としては不満で不安でもありますが・・・。症状が改善されたり、他の人への気遣いを忘れていなかったりといった光景をみることもでき、やりがいを感じることができます。「相手のことを親身になって考える」介護職は、この本質をしっかりと感じることができるのではないでしょうか。調子が悪い時は投げ出したくなることもありますが、自分の存在意義ややりがいを見いだせたり、毎日充実した時間を過ごせてよい経験ができているなと感じます。
未経験から介護の業界に入るのには不安が多く勇気もいりますが、他のお仕事と同じで「やってみなければわからない」「思っていたよりもできる」と、新しい発見があるはずです。自分がやりたい介護はどんなものか施設によっても違うので、しっかり希望にあった職場を選ぶのもポイントです。介護の仕事は、自分の考え方次第といえます。